こんな取り立ては違法!借金の取り立てに困ったら警察へ相談を

こんな取り立ては違法!借金の取り立てに困ったら警察へ相談を

 天秤と法律書とガベル

違法な借金の取り立てで困ったときは警察に相談を

借金の取り立てに連日家まで押しかけ、大声や張り紙をして世間に知れ渡るように嫌がらせをするという一昔前のイメージをお持ちの方もいるでしょう。しかし、現在は法律によって取り立ての方法が厳しく規制されています。

今回は貸金業者が従わなければならない貸金業法や、借金の取り立てで困ったときに相談できる窓口についてご紹介します。

貸金業者は貸金業法に従う必要がある

貸金業法の下で管理監督されるのは、いわゆる消費者金融といわれる貸金業者で、銀行法のもとで管理監督される銀行等(※1)は含みません。

借金の金利に関する法律には利息制限法(※2)と出資法(※3)があり、改正前の貸金業法で、ある一定の条件を満たせば、利息制限法の上限金利を超える金利の設定が可能になる条項がありました。そして、利息制限法の上限金利を超える金利の上限は出資法で決められていました。

このように金利の上限が2段階に分かれていたことにより、この間の金利幅はグレーゾーン金利といわれていましたが、現在では改正された貸金業法により、上限金利は利息制限法で決める利率に統一されています。このような経緯を経て、現在では利息制限法の上限金利のもとで、貸金業者は貸金業法に従う必要があります。

(※1)銀行等

都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、ゆうちょ銀行など

(※2)利息制限法

利息制限法では、貸し出し元本10万円未満の場合の金利の上限は20%、元本100万円未満の場合は上限18%、100万円以上の場合は上限15%と決められています。

(※3)出資法

出資法では、2000年6月1日から上限金利を29.2%としていました。2010年6月18日以降、現在の改正出資法では、上限金利は20%になっています。この上限金利を超える金利を採用すると、罰金や懲役を伴う刑事罰の対象になります。

貸金業法とは

では、貸金業者が従わなければならない改正後の貸金業法とは、どのような特徴がある法律なのでしょうか。ここで特徴として掲げることができる3つの点について、順番に見ていきましょう。

総量規制による借り過ぎ、貸し過ぎの防止

グレーゾーン金利が存在したころは、返済しきれない額の借金を抱えてしまうなどの多重債務者が多くいたことから、2006年に貸金業法が改正され、新法の第1の特徴として「総量規制」という考え方が導入されました。

これは、返済できないほどの借金をすることのないよう、またお金を貸す側からしても借りる側の返済能力以上にお金を貸すことがないよう、利用者の年収を基準として、その額の3分の1までを借入残高の上限とする仕組みです。このことにより、貸金業者は、申込者の年収の把握と他の金融業者も含めた現在の借入残高を把握することが必要になりました。

ただし、この総量規制は、個人が貸金業者から借りるお金のみが対象となります。銀行などの金融機関から借りている住宅ローンや自動車ローンがあっても、その残高は収入の3分の1の制限額には加算されません。

グレーゾーンの廃止

利息制限法では、貸し出し元本10万円未満は20%、10万円以上100万円未満は18%、100万円以上は15%と金利の上限が決められています。一方、改正出資法では貸金業者が貸し出す場合、貸し出し元本の額に無関係に上限金利は20%となったので、ここにもグレーゾーン金利は存在しているといえます。

ただし、このグレーゾーン幅の金利を採用すると、貸金業者は営業停止や登録取り消しなどの行政処分の対象になることが、改正貸金業法で明確に規定されました。そのため事実上グレーゾーンはなくなり、金利の上限はすべて利息制限法に従うことになりました。

業者に対する管理体制の強化

上限金利をはじめとする法令を遵守し、貸金業の健全な経営を担保する目的で、「貸金業務取扱主任者」という国家資格が創設されました。有資格者を各営業所に配置することを義務付けることで、貸金業者内での助言や指導がされるように管理体制の強化が図られたのです。貸金業者は、貸金業務取扱主任者の助言を尊重し、その指導に従わなければなりません。

貸金業者向けの総合的な監督指針(監督指針)とは

金融庁は、迅速、簡便な審査で資金調達の需要に応えてほしいという借りる側の需要を満たす機関としての貸金業を、銀行等の補完機関として重要な役割を担っているとしています。一方で、その利便性のために多重債務につながりやすいという指摘もあることから、貸金業法の改正とともに「貸金業者向けの総合的な監督指針」を定め、健全な競争により貸金市場が構築されるよう監督をしています。

細部にわたる監督指針の中から、ここでは、「貸金業者の監督にあたっての評価項目」のうち「業務の適切性」について、貸金業務取扱主任者が行う助言、指導に関する指針を見てみましょう。

社内規則等の整備

貸金業者は、法令等を踏まえた上で、貸金業務取扱主任者(営業所ごとに従業員50人に1人の割合)を適正に設置するための社内規則を整備し、貸金業務取扱主任者の社内における役割と権限を明記します。

実施体制の構築

利用者からの苦情の申し出があったときなど、貸金業務取扱主任者がその役割と権限による迅速な対応を社内に行使することができるよう、営業所または事務所に実施体制を構築し、社内研修等でその周知を図ります。

実効性の確保

内部管理部門を設け、定期的な点検や内部監査を通じ貸金業務取扱主任者の状況を把握、検証します。その検証等の結果に基づき、貸金業務取扱主任者の適正な配置や果たすべき役割、権限について実効性を確保します。

こんな取り立ては違法!

貸金業法では、貸す側と借りる側の健全な需給関係を担保するために、その第21条(取り立て行為の禁止)で禁止行為を規定しています。また、貸金業者あるいは、貸金業者の委託を受けた取り立て人がその禁止行為を実行しなくても、そのような行為をする旨債務者に通告することも禁止行為としています。

貸金業法を無視したような営業を行っている、いわゆる闇金業者は言うに及ばず、貸金業者あるいは、貸金業者の委託を受けた取り立て人による、借金の取り立て時にありがちな禁止行為について、具体的に確認していきます。

夜9時から朝8時の間に電話する・訪問する

電話をしながら悩み苦しむ男性

市民生活の平安を確保する意味から、「正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯」の電話、ファックスの送信、債務者の居宅への訪問は禁止です(第21条第1項の1)。

「不適当と認められる時間帯」とは、同法施行規則で「夜9時から朝8時まで」と決められています。この条項は、「正当な理由がない」場合の規制であり、また土日祝日等市民の多くが休みを取っている日についての規制ではありません。したがって、「昼間にどうしても連絡が取れない」場合や、土日祝日の昼間の電話、ファックス、訪問は違法ではないということになります。

しかし同じ条項の2で、債務者から貸金業者に対して、電話等をしても良い日あるいは時間帯を指定し、その日あるいは時間帯が社会通念に照らし不適当でなければ、そのとき以外の電話、ファックス、訪問はできないと規定しています。

近所や勤務先に張り紙をする

公園で頭を抱えてうなだれる男性

債務者の居宅への電話、ファックス、訪問は、時間帯の制限がありますが、その時間帯以外の連絡や訪問自体は禁止されていません。しかし、債務者の勤務先や、債務者が立ち寄る居宅以外の場所(仕事上の取り引き先など)への電話等は、正当な理由がなければ認められません。張り紙、立て看板などの方法で、債務者がお金を借りていることや債務者の私生活を債務者以外の人に知らせることも禁止されています。

他社での借り入れを要求する

借金に苦しむイメージ

債務者の返済資金の出所について、他の貸金業者、あるいは債務者以外の者から金銭を新たに借り入れるなどの方法によって、借金の返済資金の調達を要求することはできません。また、債務者以外の者に対して、債務者に代わって借金返済の肩代わりをするよう要求することも禁止です。

債務者以外の者が債務者の居所、または連絡先を知らせることなど、借金の取り立てに協力することを拒否しているにもかかわらず、さらに借金の取り立てに協力するよう要求することもできません。

居座る

座り込むスーツ姿の男性

債務者の居宅あるいは、正当な理由のもとで勤務先等を訪問した場合、債務者が明確にその場所から退去するよう意思表示をしたにもかかわらず、その場所に居座ることは認められません。

債務整理の通知後に取り立てる

借用書

債務者が、弁護士等に債務整理(※4)を委託するなどにより裁判所での民事事件に関する手続をとり、弁護士等または裁判所から書面によりその旨の通知があった場合、正当な理由もなく債務者に対し電話、ファックスあるいは訪問により借金の返済を直接要求することは禁止です。

(※4)債務整理

借金を減額したり、免除したり、支払いに猶予を持たせたりする手続のことで、債務整理の手続には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産があります。このうち裁判所が関わるのが特定調停、個人再生、自己破産です。

合法的な取り立ての流れ

握手を交わす手と書類の海

上記でご紹介したような、貸金業法で禁止されている取り立ての方法でなければ、取り立て行為は合法ということになります。それでは、合法的な取り立てはどのような流れで行われるのでしょうか。段階を追ってご説明します。

携帯電話・メールによる連絡

通常、貸金業者は債務者の状況と返済義務の認識を確認するために、昼間の合法の時間帯に電話をかけるかメールを送信することになります。電話は、債務者本人への連絡が取れるように、登録済みの携帯電話にかけることが普通です。闇金でもない限り、債務者自身がこの電話に出るか、後からかけ直す、またはメールに返事をすることにより誠実な対応をすれば、それ以後の督促に移ることはありません。もちろん何度電話しても、メールをしても、返事はするが空約束で一向に返済されないという場合は、この限りではありません。

書面による督促・家への電話

携帯電話に電話しても、通常のメールでも連絡が取れないということになれば、他の方法で連絡がつくように、まず債務者本人に宛てた書面またはメールによる督促状の送付が行われます。一般的に封書の差出人には社名ではなく、担当者の個人名が記載されるため、外見を見ただけでは貸金業者から送付されていることは分かりません。

督促状を無視すると、何度かの督促、あるいは自宅に電話がかかってきます。電話は、1日に何回もしない、あるいは電話で留守電を残す場合は、社名を伏せて個人名でメッセージを残すよう配慮されることが普通です。督促状に反応がなく、督促状を繰り返し送る場合、当然ながら文面が厳しくなり、そのときの返済額だけでなく延滞遅延金の支払いも求められるようになります。

家への訪問・催告書による最後通告

家への訪問は、よほどの事情でもない限り最近は行われません。ただしその可能性もあることは、頭の片隅に置いておきましょう。督促状は最終的には催告書になり、残金全額を指定日までに支払うこと、支払わなければ法的な手段に出るかもしれない旨が告げられます。法的手段とは、訴訟や差押えの申請です。

取り立てを合法的な手順で行う理由

貸金業者あるいは貸金業者の委託による取り立て人は、合法的な取り立ての流れに従うことで取り立ての合法性を担保します。合法性を担保することにより、最終的に訴訟ということになったときに、貸金業法に違反する取り立てではないことを主張できます。仮にその主張が認められなければ、貸金業を続けられなくなる危険性があるため、貸金業者は合法的な取り立ての流れに沿って取り立てを行うのです。

また、最後に返済をした日から何もせずに5年が経過すると、「時効」により債務がなくなってしまうという民法上の制約も関係しています。貸金業者は、債務者に定期的に連絡を入れることで、時効の成立を防いでいるのです。

借金の取り立てで困ったら?

窓口での相談のイメージ

貸金業法の下で貸金業を営む会社は、以上のように取り立てに関しては慎重な行動をとっていますが、それでも「これは違法では?」と思うような取り立てをされることもあるかもしれません。そんな場合に頼りになる、債務者が借金の取り立てで困ったときに相談できる所がいくつかあります。

闇金からの非合法な取り立ての場合だけでなく、貸金業者からの取り立てについても、困ったら個人で悩むことなく相談をしてみることも大切です。解決の糸口が見つかるかもしれません。

消費者生活センターに相談する

消費者生活センターは、消費者生活全般に関する苦情や問い合わせに対応する公的機関ですが、借金や多重債務に関する電話相談にも応じています。土日祝日等で開所していないときは、電話により国民生活センターに相談することもできます。弁護士など専門家に相談する前に、まず無料で相談できる消費者生活センターに相談してみましょう。

弁護士に相談する

相談に関して時間単位で報酬が決められている弁護士の場合、相談するにも身構えてしまう方も多いかもしれません。しかし、日本弁護士連合会が主催する全国の法律相談センターであれば、初回30分以内なら無料という相談センターもあります。

相談内容と相談時間がセンターごとに決まっているので、ホームページなどで調べた上で相談をしてみましょう。有料の場合は、30分5,000円程度です。債務整理に話が発展した場合も、話が滞ることなく進められるメリットがあります。

法テラスに相談する

法テラス(正式名称:日本司法支援センター)は、問題解決の道案内をすることを目的として設立された公的な法人です。相談内容を整理し、適切な法制度や相談窓口を無料で案内する情報提供業務と、経済的に余裕がない相談者への弁護士費用等の建て替えを行う民事法律扶助業務等を行います。「借金の取り立てに関する相談」と具体的に相談の対象が明らかなときは、法律相談センターに相談することをおすすめします。

警察へ相談する

合法的な取り立て行為に対して警察が介入することはありませんが、貸金業者や貸金業者の委託を受けた取り立て人が明らかに違法と思える取り立て行為に及んだときや、住居内への侵入や暴力行為、強迫行為などによって身の危険を感じたときは、速やかに警察へ相談しましょう

違法な借金取り立ては早めに相談しよう

今回はお金を貸す側と借りる側の健全な需給関係を担保し、返済が滞ったときの取り立てに関して根拠となる法律、貸金業全般への金融庁の取り組み、取り立てに関する違法行為、合法な取り立て、借金や多重債務に関する相談窓口についてご紹介しました。

賃金業者が正当な理由もなく、不適当と認められる時間帯に貸金業者から電話や訪問を行う、近所や勤務先に張り紙をする、といった行為は違法です。

借金をしていることに後ろめたさを感じ、自分一人で悩んでいても問題は解決しません。違法な取り立てに遭ったときは消費者生活センターや弁護士、法テラスに相談する、身の危険が迫っているときはすぐに警察へ通報するようにしましょう

大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

各種カードローン比較
ピックアップ
各種カードローン比較
© カードローンQ All Rights Reserved.