個人事業主(自営業)がカードローンを利用する際の注意点

個人事業主(自営業)がカードローンを利用する際の注意点

個人事業主(自営業)

自営業(個人事業主)がカードローンを利用するときに注意すること

個人事業主(自営業)が借り入れをする場合、同じ収入があったとしても会社勤めのサラリーマンより審査が厳しいことはご存じの方が多いでしょう。住宅ローンなどの目的ローンの審査はもちろん、カードローンの審査においても同じことが言えます。個人事業主(自営業)も一生懸命働いているのに、なぜ会社勤めのサラリーマンと同じ評価をしてもらえないのでしょうか。

そこで今回は、個人事業主(自営業)でもカードローンを利用することは可能かどうか、そしてサラリーマンとの審査での扱いの違いや、個人事業主(自営業)がカードローンを利用する際の注意点についてご紹介します。

個人事業主(自営業)でもカードローンは利用できる?

個人事業主(自営業)でもカードローンは利用できる?

急な出費が必要なときにカードローンを利用できれば便利です。個人事業主(自営業)であっても、カードローンを利用することはできるのでしょうか。結論から申し上げますと、利用は可能です。多くのカードローン会社では、勤務形態によって申し込みを断ることはありません。

ただし、「安定した収入があること」がカードローンの利用条件とされています。これは銀行カードローン、消費者金融カードローン、信販カードローン、流通カードローンのどの種類のカードローンについても同じことが言えます。

事業に必要な資金については、カードローンを利用するよりも銀行から事業資金として融資を受けたり、公的な融資を利用したりする方が金利面でも有利なことは確かです。しかし、銀行などの事業資金融資は事業計画書を作成する必要があるのに加え、厳しい審査をクリアしなければならないというハードルがあります。

何より、融資されるまでに時間がかかるという点が最大のデメリットです。また、事業に直接関係のない資金については借りることができないなど、制約が多いのも使いにくいところです。

その点、カードローンは申し込みから審査、契約まで、スピーディーに対応することが可能ですし、用途も問われません。生活資金や冠婚葬祭などの出費、旅行費用に充てることも全く問題ありません。

困ったときに頼れるカードローンを持っておくことは、個人事業主(自営業)の方にとって非常に心強いことだと言えるでしょう。

個人事業主(自営業)だとサラリーマンより審査は厳しい?

会社勤め

一方で、会社勤めのサラリーマンと違って、個人事業主(自営業)はカードローンの審査でやや厳しい扱いを受けるのも事実です。個人事業主(自営業)の審査は、なぜ会社勤めのサラリーマンの審査よりも厳しいのでしょうか。

カードローン審査のポイントは「安定した収入があること」

安定した収入があること

カードローン審査の最も重要なポイントは、「安定した収入があること」です。お金を貸す立場に立って考えると理解しやすいかもしれませんが、お金を貸すかどうか考えるときに一番重要なことは、貸したお金が返ってくるかどうかということに尽きます。

住宅や車を担保に取っている場合は、最悪それを売り払って換金することができますので、その物の評価も審査基準になります。連帯保証人が付いている場合は、連帯保証人から返済してもらえそうであればそれでいいかもしれません。

しかし、カードローンのように無担保で保証人の必要がない借り入れの場合は、本人から返済してもらう他に回収方法がないため、本人に返済能力があるかどうかが重要になってくるのです。

サラリーマンの審査では勤続年数が重視される

勤続年数が重視される

会社勤めのサラリーマンの場合、毎月決まった日に決まった金額(歩合や残業代の増減はあるとしても)が支払われます。これは会社を辞めたり、解雇されたりしない限りは保証されています。

したがって、カードローン審査では、その会社にどれだけ定着しているかを勤続年数で判断します。カードローン会社によって基準はさまざまですが、最低6カ月以上とする場合や、1年以上とする場合などが一般的です。

個人事業主(自営業)は「安定性」においてやや不利

一方、個人事業主(自営業)は安定性の面で、会社員よりもやや不利です。というのも、個人事業主(自営業)は毎月決まった売り上げや利益を上げられる保証がないからです。

この安定性を評価してもらうには、事業をどれくらいの期間行ってきたかという実績で判断してもらうしかありません。サラリーマンでいうところの勤続年数にあたるものですが、サラリーマンよりも基準は厳しく、3年以上が理想と言われています。

もちろん、勤続年数だけで判定されるわけではありません。その他の項目もすべてスコアリングした上で判断されますので、勤続年数要件が厳しくても審査に通る可能性はあります。

収入証明が必要なケースが多い

収入証明が必要

消費者金融カードローン、信販カードローン、流通カードローンの場合、貸金業法の規制対象となっており、50万円を超える借り入れは、収入証明の提出が必須です。また、すでに他社から借りている場合、合計の借入金額が100万円を超える場合もこれに該当します。これは貸金業法で定められた基準ですので、各社絶対用件と言えるでしょう。

一方、銀行カードローンの場合は、消費者金融カードローンなどと違って貸金業法の対象外ですので、法的な規制はありません。ただし、各銀行内での規定はあります。最近では、消費者金融カードローンなどに合わせて(貸金業法に準じる形で)50万円を基準にするところが増えてきました。

これは裏を返せば、50万円以下の借り入れであれば収入証明が不要ということです。実際、会社勤めのサラリーマンの場合は、収入証明なしで借り入れすることも可能です。

しかし、個人事業主(自営業)の場合は50万円以下であっても、収入証明を必要とするケースが見受けられます。会社勤めのサラリーマンと違い、収入申告の信憑性が低いと考えられているからです。この点もやや個人事業主(自営業)が不利と言えるかもしれません。

個人事業主(自営業)は事業用カードローンの利用も可能

個人事業主(自営業)にとって不利なことばかりではありません。それは、サラリーマンと違い、事業用のカードローンを申し込むこともできる点でしょう。事業用のカードローンは総量規制の対象外であるため、年収の3分の1を超える借り入れも可能です。

用途は事業用途に限りますが、会社勤めのサラリーマンにはない選択肢ですので、この点は個人事業主(自営業)の方が有利でしょう。

個人事業主(自営業)の方がカードローンを利用する際の注意点

それでは、個人事業主(自営業)がカードローンを利用する際にはどのような点に注意すべきなのでしょうか。以下では、ポイントごとに具体的にご紹介します。

虚偽申告は禁物!

ちょっとでも限度額を増やしたい、何としても審査に通りたい、そう思う気持ちは誰しも少なからずあるでしょう。しかし、年収を水増ししたり、勤続年数を水増ししたり、他社での借り入れを申告しなかったり、という行為は厳禁です。申し込み内容に不自然な点があればカードローン会社もその不自然な点を細かく調査しますし、そこで嘘が発覚すれば審査で落とされます

またこのような虚偽申告を防ぐために、カードローン会社は収入証明などで裏付けを取りますので、明るみに出てしまいます。審査を通るためにしたことが、完全に裏目に出てしまうのです。審査ではささいなことでも嘘をつかず、正直に申告するようにしましょう。

収入証明は公的証明が必要

収入証明は公的証明が必要

個人事業主(自営業)がカードローンを利用する際には、借入額にかかわらず収入証明が必要なケースが多い、ということは先にもご紹介した通りです。では、この場合の収入証明とは何を指すのでしょうか。

会社勤めのサラリーマンの場合、源泉徴収票や会社が発行した給与明細でも問題ありませんが、個人事業主(自営業)は自分で給与明細を作成することができますので、何の証明にもなりません。そのため、公的な収入証明を用意する必要があります

税務署ないし税理士印のある確定申告書の写しで受け付けてくれるカードローン会社もありますが、業者によっては自治体が発行する所得証明書や納税証明書を市役所、区役所などで取得しなければいけません。

確定申告書にしても所得証明書や納税証明書にしても、節税目的で所得を抑えて申告していたり、不当に低い金額で申告していたりすると、カードローンの審査では不利になります。カードローンやそれ以外にも借り入れをする予定がある場合は、正確な申告を心がけましょう。

修正申告という手は有効?

「所得を抑えて確定申告をしたものの、どうしてもカードローンでまとまった金額を借りたい」という状況になることも考えられます。しかし、事業用のカードローンや銀行カードローン以外は総量規制の対象ですので、申告額の3分の1が絶対的な上限になってしまいます。しかし、銀行カードローンは審査が厳しくて借りられそうもないというとき、どうすれば良いのでしょうか。

よく紹介される方法が、確定申告を修正する(修正申告)という手です。当たり前ですが、不当に水増しして申告してはいけません。しかし、抑え過ぎていた申告を正常な数字に戻すのなら問題ないでしょう。所得を正常化することで、総量規制上の3分の1までであれば融資枠を増やすことができます。

ただし、この方法には注意すべきことがあります。所得が増えると、増加分に応じて納税額も増えるということです。また、それに伴い国民健康保険料もアップしてしまいます。お金を多く借りるために対策を練ったのに、そのせいで支出が多くなってしまうこともあるので注意が必要です。

また、所得額が増えたからといって、カードローンの限度額が総量規制の枠いっぱいまで増える保証はありません。こういった点を踏まえて、有利だと判断した場合にのみ行うようにしましょう。

確定申告書を偽造してはいけない

修正申告のデメリットは前項でご説明しました。「いっそのこと確定申告書を偽造したら良いのではないか?」と考えた方もいるかもしれませんが、確定申告書の偽造は絶対にやめましょう

カードローンの利用の有無にかかわらず、正しい所得を申告することは国民の義務です。また、正確な申告をしておけば、いざというときに自分自身を助けることにもなります。今すぐに借り入れが必要でない方も、この点は銘記しておいてください。

固定電話はありますか?

固定電話

個人事業主(自営業)でも、基本的に在籍確認の電話が入ります。店舗や事務所があって固定電話を引いている場合は問題ありませんが、固定電話を引いていないケースはどうなるのでしょうか。

この点の対応はカード会社によってさまざまですが、固定電話がないと審査で落とすという厳しい業者もあります。反対に、携帯電話でも問題ないという業者もあります。また、営業していることを何らかの書面(確定申告書、営業許可書など)で確認するといったケースもあります。

自宅の固定電話の番号を書いておき、対応するというのも1つの手ですが、その場合は在籍確認でなく在宅確認扱いになる可能性もあるので確実ではありません。

固定電話を引いておらず心配な方は、あらかじめ検討中のカードローン会社のフリーコールに電話をして事情を伝え、相談してみましょう。嘘をついたり小細工を弄したりするよりも、正直に話した方がいい結果につながるでしょう。

注意点が多いことを理解してカードローン審査に臨もう

今回は個人事業主(自営業)と会社勤めのサラリーマンとのカードローン審査での扱いの違いや、個人事業主(自営業)がカードローンを利用する場合の注意点についてご紹介しました。

安定した収入を証明するために、サラリーマンと比べて勤続年数要件が厳しかったり、借入額にかかわらず収入証明が必要だったりと、何かと不利な点が多いのも事実です。一方で、サラリーマンでは利用できないような事業用のカードローンを利用することもでき、選択肢は広いと言えます。

個人事業主(自営業)がカードローンを利用する場合は不利な点、注意すべき点が多いことは否めませんが、その特徴を理解しておけば、カードローンの審査であっても心配することはありません。

継続して事業を行うためには資金繰りが何よりも大切です。その苦労は会社勤めのサラリーマンの比ではないでしょう。だからこそ、困ったときに頼れるようなカードローンを1枚持っておくことで、大きな安心感を得られるのではないでしょうか。

田中 裕晃
田中 裕晃

CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/マンション管理士/ 住宅ローンアドバイザー/賃貸不動産経営管理士 他
日本FP協会主催「くらしとお金のFP相談室」で平成29年度相談員担当

大手賃貸仲介業者に就職し、新人賞獲得。店長職を経験後、売買仲介業者として独立。不動産業を営む傍ら、ファイナンシャルプランナーとしても活動中。

住宅の取得やそれに付随するライフプランニングの設計、資産の組み換え、不動産投資、相続対策などに関しての相談業務を行っている。

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